「夜が好き」「夜が怖い」

いつの間にか夜になっていた。

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夜が好き。

夜は好きだ。暗くて静かなところは落ち着く。

調子がいい時は本を読むのも良い。

秋の夜長は特に良い。珈琲を淹れて、小説を読み耽る。

鬱を患ってから、夜の方が調子が出てくる体になってきた。

本当はよくないんだろう。朝方に調整しないと社会復帰はできない。

復帰したこともあったけれど、また元に戻ってしまった。

今は一日中調子が良くないけれど、どちらかというと夜の方が動けている。

夏は夜が短いのが好きではない。少し夜更かしするだけですぐ空が白んでくる。

だが、清少納言が「夏は夜。」と言ったように夏の夜は素敵だ。

蛍は滅多にお目にかかれるものではないが、夏の終わりごろに秋の虫が鳴き始めるのは趣深い。

窓を開けて、思い切り夜の空気を吸い込んでみる。気持ちが良い。

東京の夜は田舎のような夜ではないけど、私は好きだった。

満員電車は嫌いだったけど、夜景は好きだ。

東京の熱帯夜は重く気怠い。

冷房の効いた部屋の窓を開けると生ぬるい空気が流れ込む。

室外機がブンブン唸っている。

夜景を眺めながら食べるハーゲンダッツは都会の味。上京してバイトしたお金で買ったちょっとした贅沢の味。

布団の中に入ってとりとめのないことを考えるのもよい。

眠気がすぐ来てしまうのはもったいない。

今日あった楽しいことでもよい。

こうあればいいという妄想でもよい。

フワフワの毛布に包まれる、幸せな時間を愛している。

夜が終わらなければいい。明日が来なければいい。

夜が怖い。

いつも楽しいことを考えて眠りにつけるわけではない。

むしろ鬱々とした気持ちで眠ることが多い。

夜は鬱をつれてくる。

眠れない夜は考えなくてもいいことばかり考えてしまう。

嫌な記憶がよみがえり、何度も何度も自身を傷つける。

泣いていたらいつの間にか眠っていることもある。

暗いのが怖くて、夜が怖くて、風の音が怖くて、ただ布団に包まり震えている。

夜には魔物が住んでいる。

深夜に散歩をしたことはあるだろうか。

街は昼間と全く違った顔を見せる。

何が襲ってくるわけでもないのに、夜の街は少し怖い。

そこが魅力的でもあるのだけれど。

一日、何もすることなく夜になってしまうことが怖い。

身体が重く動けない。横たわっていたら夜になっていた。

ああ、今日も何もできなかった。

夜に寝て、夜に起きる。一日の境目がなくなっていく恐怖。

朝も嫌いで、夜が怖いならどの時間に生きていればよい?

眠れないうちに空が明るくなってくると絶望する。

大嫌いな朝が来る。

早く夜になってくれ。

夜が怖いのに、夜が好きだ。

夜は怖いけれど、夜は救いだ。

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