先輩がうつ病になった。どう接すれば良かったんだろう

現在の私は双極性障害だ。でも、高校生の時は健常者だった。

うつ病を含め精神疾患とは縁のない生活を送っていた。これからも自分はうつになることはないだろうという根拠のない自信すらあった。

これは私が「うつ病」を知ることになる最初の話である。

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先輩が鬱になった。

私は高校でとある文化部に所属していた。

大会にも出場していて県内ではそこそこの成績を収める部だった。

その部活の先輩が鬱になった。

彼女は私の1つ上で、兼部もしていて忙しそうだった。

恋愛関係でもめていたとか、進路で悩んでいたという話も聞いた。

どれが原因だったかは分からないしどれでもなかったかもしれない。

先輩が学校に来なくなって、皆心配していた。

ある日部員全員にメールが届いた。

「みんなに伝えたいことがあります。

実は私、うつ病になっちゃったんだ。

今朝お薬を飲むのを忘れちゃったから

すこし体調が悪いな。」

こんな内容だった。

なにやら絵文字がうごめいていて暗い内容のわりには可愛いメールだった。(当時はガラケーでデコメの時代だった。)

これをどんな心境で打ってるんだろう。具合が悪いならこんなメールを飾りつけなくてもよいだろうに。先輩がどういう状態なのか全然分からなかった。想像ができなかった。

当時私は双極性障害では無かったので

うつ病の人が周りにいるというだけでビビった。

わたしにとってうつ病は得体のしれないもの、別世界の物だった。

テレビで見聞きしたことのあるものの、十分な知識はなかった。

また、うつ病は薬を飲み忘れると体調や気分が変化するということに驚いたのを覚えている。

先輩が学校に来ないまま季節が過ぎ新年を迎えた。

年賀状が届いた。

年が明け先輩から年賀状が届いた。

それはなんとも新年に似つかわしくない年賀状だった。私は怖くて直視できなかった。

通信面は紺色の絵の具で塗りつぶされていて、ピンクのラメのペンで文章が書いてあった。

「出席数が足りなくて留年することになりました。

来年は理奈子ちゃんと同じ学年だね。

敬語もやめて、あだ名で呼んでね。」

友人にも同じような年賀状が届いたらしく、私たちは困惑していた。今まで敬語を使い、○○さんと呼んでいたのを変えなければいけない。そして彼女はうつ病だ。どう接したらいいか分からない。

新学期になり先輩は学校に姿を現した。

少しだけ会話をしたが、ぎこちないものだった。

正直に言うと気まずいので関わりたくなかった。

留年した先輩はクラスで一つ下の年齢のクラスメイトから腫れ物扱いされているようだった。

部活でも私たちは腫れ物扱いしてしまった。

先輩はしばらくしてまた学校に来なくなった。

その後の先輩の行方をはっきり知っている人はいない。

高校を卒業したのかもわからない。

何か資格をとったとか、こういう団体に所属しているとか、そういう話は小耳にはさんだ。

うつ病は良くなったのだろうか。良くなっていることを願っている。

現在双極性障害の私が思うこと。

高校3年生の終わりごろ私は抑うつ症状が出始めた。

うつを知らない側から知っている側になってしまった。

私が先輩に対して抱いていた感情を今度は私が他人から向けられているのを感じる。

腫れ物に触るような態度、得体のしれないものを見るような目。

今は私は先輩の気持ちが少しわかる。

先輩は真面目な人だった。優しくて、面倒見がよくて、クソが付くほど真面目なイメージだった。

自分のことよりも他人を優先する人だった。

うつになってもおかしくない性格だった。

周りに心配をかけまいと、自分がうつであることを少しでも明るく打ち明けようとしたんだろう。

うつで調子が悪いのに、メールを一生懸命打ったんだろう。

腫れ物扱いしなければよかった。

敬語をつかわないでぎこちなく話すくらいなら、今まで通り敬語で話した方が話しやすいということを思い切って伝えればよかった。

これが正解、なんてないんだろうし

後悔しても過去が変わることはない。

ただこのことはいつまでも私の心にひっかかっている。

おそらく健常者だったときの私のように

うつ病患者を見たことも会ったこともない、自分も周りも健常者である人は一定数存在するだろう。

架空の世界の存在、自分とは無関係な存在が現れたら困惑するだろう。

うつ病をいくら机で学んだところで理解することはできない。

家族がうつ病になる、もしくは自分がうつ病になってやっとうつが分かってくる。

うつは甘えや気の持ちようじゃない。心も体も健康な人にとっては想像もつかない病気だ。簡単に理解できると思うな。理解しようとしないと理解できない。

異質なものを無かったことにしないでほしい。

理解できないなら理解しようと試みてほしい。

そうやって昔の私に教えてあげたい。

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