行きは健常者、帰りは障害者―健常者と精神障害者の境目について

精神障害者保健福祉手帳が交付されたと役所から連絡が来たため、手帳を受け取りに出かけた。

行きのバス代は、280円。

これは健常者、いや言い方を変えよう、中学生以上が支払う運賃である。

そして私の住む地域では障害者手帳を提示すると運賃が半額になる。

手帳を受け取り、手帳の制度を利用して払った帰りのバス代は140円。

なんだか変な心地がした。

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障害者から健常者へ、また障害者に

手帳の等級は3級から2級になっていた。

「手帳の更新って、そろそろ更新の時期ですよーと役所から連絡来るよね?」なんて思っていたら全然そんなことなかった。考えが甘かった。

そうこうしているうちに更新時期を逃して半年も過ぎてしまった。

双極性障害が寛解したと勝手に思い込み、病院に行っていなかったため面倒くさいことになった。

精神科・メンタルクリニックなどの通院歴が一定期間無いと申請できないと告げられた。

申請にあたり、初めての受診から転院を5回した経緯まで詳細に話さないといけない。

何年の何月に転院したかなんて正直覚えていない。ただでさえ医師や看護師と話すときに口ごもってしまうのだから尚更苦労した。

どこの医院で処方されたかと日にちが記録されている、お薬手帳を4冊持っていって助かった。「すみません、お薬手帳を見て良いですか?」と言うことでなんとか話すことができた。

また、日常生活を送るにあたりどのくらい支障が出ているかチェックするための質問がある。

2年半前は役所で聞かれたが、今回はメンタルクリニックで看護師に質問された。

2回ともそうだったのだが、相手はなぜか「これできますよね?」という前提で聞いてくる。

食事は適切にとれるか、薬は飲めるか、お風呂は入れるか、ボランティアなど社会貢献できるか、災害等緊急時に避難することができるか・・・など。

相手に押され気味にならぬよう、できないことははっきりできないと伝えた方が良い。

とまあこれから障害者手帳を取得する際に役立つ情報などを書いてしまって、本題からずれてしまった。

話を戻そう。

障害者と健常者の境目とは

私は生まれたときから障害者だったわけではない。

うつ病を取り上げたテレビ番組を他人事のように見ていたし、うつ病になった先輩とどう接したらいいか悩んだこともあった

うつ病や双極性障害などの精神障害は見た目では分からない。

自宅では気分の落ち込みがひどく布団から起き上がれなくても、たまに調子が良いときに外出してしまえば健常者との区別がつかないこともあろう。

バスや電車には精神障害者の優先席は、無い。

見た目では分からない。分からないように振る舞っている。

誰が私を障害者だと決めるんだろうか?

手帳を所持していない行きの私が健常者なら、手帳を受け取ってきて帰ってきた私は障害者なのか?

同じ私、30分前と何も変わっていない私なのに?

そう、私は自分で決めて障害者に「なった」

手帳を持っていようが持っていなかろうが病気のせいで日常生活に支障をきたしている、不便に感じているならそれは障害だ。

逆に病名がどうあれ、自分は障害者ではない、国から支援を受けるほどではないと思うなら障害者になることはない。

いささか暴論が過ぎるだろうか?だが、精神障害者手帳を初めて取得するかどうか迷っている人は必ず通る道だろう。

障害者手帳を所持していて思うこと

以前、こんな記事を書いた。

障害があることは、恥ずかしいことなのか?
双極性障害の理奈子です。 障害者手帳の3級を持っています。手帳を持っているので私は障害者なのでしょう。 ふとした瞬間に障...

たった5カ月前なのに少しずつ自分の考えが変わっていることに驚いた。

精神障害者保険福祉手帳のことを知ってから、悩み、申請するまで障害者になるのは嫌だな、恥ずかしいなと思っていた。

5カ月前はまだ恥ずかしい気持ちが残っていたようだ。

今の私はどうだろうか?

恥ずかしく思うこともなく

手帳を持っていることをひけらかすこともない。

つまり、特に悩まなくなった。

しかしここまで来るのに相当な時間がかかり、周りと自分を比較し、孤独でいれば比較することもなくなるだろうと暗く狭い場所へ逃げ隠れるような行動もとった。

その度につらく悲しい思いをし、普通になりたい、健康になりたいと願って涙した。

諦めにも似た感情だ。仕方がない、今の自分を受け入れて自分のペースで寛解に近づいていけばいい。そうやって障害者であることを受け入れた。

ただ、もし私が障害者であることで身内が馬鹿にされたり恥ずかしい思いをするならそれは悲しい。

(と、同時に差別意識を抱いて何か言ってくる、汚点として噂するような人間とは付き合ってほしくないとも思う。)

周りがどう言おうが、家族がどう思おうが私は障害者だという事実は変わらない。

手帳の有無は実は大した問題ではないのかもしれない。自分がこの先障害とどう向き合っていくのか考える。それに初めて気付かせてくれるのが精神障害者手帳なのだ。

参考リンク:精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準(pdf)―東京都福祉保健局

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