双極性障害Ⅱ型の理奈子です。
自分の病名は双極性障害だけど、基準は何なの?Ⅰ型とⅡ型ってどう違うの?と疑問に思われる方も多いと思います。
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違いに触れ、曖昧だった疑問を解決していきましょう。
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い
双極Ⅰ型障害というのは、入院が必要になるほど激しく、放っておいたら本人の人生が台無しになってしまうようなひどい躁状態、そしてうつ状態を繰り返すものです。
一方、双極Ⅱ型障害というのは、本人も周りも困らない程度の軽い躁状態である「軽躁状態」と、うつ状態を繰り返すものを言います。
つまり、生活に支障が出るほど激しい躁状態が現れるのがⅠ型、入院が必要ない程度の軽躁が現れるのがⅡ型、ということです。
・Ⅰ型とⅡ型の違いは躁状態の程度の違いのみによって決まる
・一度でも激しい躁状態があればⅠ型
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双極性障害の診断基準について
さて、ちょっと難しい話になるのですが双極性障害の診断基準について見ていきたいと思います。
精神疾患の診断と治療は医師それぞれの判断基準に基づき行われていたため、病院と医師によってまったく違う病名と治療になるという状況でした。
このような状況を回避するためにアメリカ精神医学会は精神疾患一つひとつに対して診断基準を作りました。それがDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)と呼ばれるものです。
DSMの改定第四版にあたるDSM-Ⅳでは双極性障害がⅠ型とⅡ型に分類されました。
ここでの診断基準は
躁状態(Ⅰ型)の診断基準は躁状態が7日間毎日続くこと
軽躁状態(Ⅱ型)は軽躁が4日間続くこと
となっています。
しかし、このDSM診断基準に基づいてどの病院・医師でも双極性障害が診断されているかというと、そうではないのが現状です。
というか、そんな質問もされたことないなあ
では、Ⅰ型とⅡ型の症状例を詳しく見ていきましょう。
双極性障害Ⅰ型の躁
双極性障害Ⅰ型は患者さんの人生や家庭が破壊されかねないほど激しい躁状態が特徴です。
<躁状態の特徴>
・夜寝なくても平気
ずっとしゃべり続け、動き続ける。自身のコントロールができない。
・金遣いが荒くなる
借金をしてまで必要のない物をかうことも。
・高揚した爽快な気分が続く
・アイデアがどんどん湧いてくる
何かをいきなり始めようとする。できそうもないことを言う。
・集中力はない
・誇大妄想が出る
自分は偉いと思い込む。幻聴が出ることも。
・怒りっぽくなる
・性に奔放になる
躁状態の時は本人に自覚がありません。自分はいつも通りだと主張します。
周りの人を振り回し、疲弊させます。日常生活に支障が出るので時には入院が必要になります。
双極性障害Ⅱ型の軽躁
次に、軽躁状態について見ていきましょう。Ⅰ型の躁とはどう違う症状が出るのでしょうか。
<軽躁状態の特徴>
・気分が高揚する
・アイデアが湧いてくる
Ⅱ型の軽躁は、本人も周りもあまり困らない程度の躁状態のことを言います。
いつもより気分がいいな、という感じですね。
Ⅰ型と似た症状が出ても、そこまで生活に影響を及ぼしていないのであれば軽躁と言えます。
また、「普段より調子がいいかな?」という程度の躁なのでうつ病を双極性障害Ⅱ型は見分けがつきにくいです。
しかしうつ病と双極性障害は治療に用いる薬が違います。うつ病の薬を用いても効果は薄いので、軽躁の自覚がある方は主治医に申告することをおすすめします。
Ⅰ型とⅡ型のうつ状態の違いは?
Ⅰ型とⅡ型は躁状態に大きな違いはありますが、うつ状態はどちらも同じ程度です。
<主な症状>
・抑うつ気分…普段はない逃れられないうっとうしい気分が付きまとう
・興味・喜びの喪失
・不眠、早朝覚醒…過眠の場合もある
・食欲減退、食欲亢進…それに伴う体重増減
・疲れやすい
・無気力
・自殺念慮
このように双極性障害の抑うつ状態はうつ病と共通する部分があるため、初期はうつ病の診断を受けることがあります。
そのため双極性障害を見分けるためには主治医、患者共に「躁状態(軽躁状態)は今までなかったか?」確認することが必要です。
おわりに
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い、お分かりいただけたでしょうか。
病名を言わずに治療を進めるお医者さんもいるので、自分が何の病気か気になる方もいることでしょう。ですが病名が気になるときは自己診断はせずに、一度主治医に尋ねてみることをおすすめします。
参考文献:加藤忠史「双極性障害―躁うつ病への対処と治療」2009年、ちくま新書
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